私たちの見解

「TPP」交渉への参加は、国のかたちが変わる大問題
                       ― 日本共産党はこう考える(その5)

 ホームページ読者のみなさん、こんにちは。

 みなさんは、いま、TPP(環太平洋連携協定)交渉に参加するかどうかが国政上の大問題になっているのをご存じだと思います。
 野田首相は、アメリカ政府や経済界に言われて、国民に真実を知らせず議論も不充分なまま、11月
12日からのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に向けて交渉参加を表明しようとしています。

  しかし足もとの民主党内でも異論が続出し、全国各地でも反対運動が広がっています。

それほどの大問題なのです。
 みなさんも、TPPの中味を知れば知るほど「これは大変だ、国のかたちが変わってしまう、こんな  『亡国政治』はゆるせない」、と思われるのではないでしょうか。

 以下で、その問題点をみてみましょう(「しんぶん赤旗」1011月号外などから)。

● そもそも「TPP」とは
・・・すべての関税を撤廃し、貿易を「自由化」。社会をまもる制度も緩和、撤廃

  TPP(Trans-Pacific Partnership Agreement の略で、「環太平洋パートナーシップ協定」と訳され
ることもあります)とは、菅直人前首相が、昨年秋に、交渉への参加を突然いいだして、国民がはじめて耳にした問題です。
TPPは太平洋をかこむ国々が参加して貿易自由化をひろげ、経済連携をつよめようという協定で、2006年に4カ国(シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ)で発足しましたが、その後、5カ国(アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア)が参加を表明し、現在9カ国による、より広域の協定をめざした交渉がおこなわれています。
 
  知られているように、世界の国々は輸入品に税金(関税)をかけることで国内の産業を保護していますが、TPPの最大の特徴は、農産物を含めてすべての物品(モノ)の関税撤廃を原則にしていることです。また、TPPの交渉ではモノの貿易以外でも、金融や保険、公共事業への参入、医療の規制緩和、労働者の移動の自由化など、多くの分野を対象にしています。そこでは、国民生活をまもる国内のさまざまな制度・仕組みを、国をこえた自由な取引・企業活動に対する規制、「非関税障壁」としてとらえ、その緩和・撤廃を迫っているのも重要な特徴です。

● 具体的には、どんな問題・影響があるのでしょうか
  農林水産業・・・食料自給率13%、コメの9割以上が外国産に。国土が荒廃、洪水を
         ふせぐ機能も喪失 

 日本の食料自給率は、農水省試算で39%から13%へ。世界的な穀物不足で、食料価格はここ10年たらずで2.3倍(国連発表)。食料危機に対応できなくなることは明らかです。
 また、農林水産業がもっている国土や環境をまもる大切な機能――洪水防止、土砂崩壊防止、水質浄化、生態系保全など年90兆円の効果が失われてしまいます。
 10月21日に開かれた、福島県民集会での「決議」は次のようにのべています。
 「最優先すべきは、TPP交渉への早期参加ではなく、原発事故の早期収束と被災地の復旧・復興に全力をつくすこと」

くらし・・・殺虫剤・除草剤入り農産物の輸入OKで、「食の安全」が危機に。
    
   医療制度が崩壊し、命がお金で左右される国に。

 TPPは、「食の安全」をまもる規制も交渉対象です。“残留農薬や添付物など基準がきびしすぎる”――アメリカの勝手な要求がとおれば、日本の食卓はピンチにおちいります。
 医療の面では、混合診療の全面解禁や株式会社の参入など、医療に市場原理が導入され日本医師会も「本当にお金がなければ医療が受けられない時代(がくる)」と言っています。

  経済・・・雇用と地域経済に大打撃。もうかるのは一部の輸出大企業だけ

 農林水産業だけでなく、食品加工や運輸など、関連産業や地域経済と雇用に深刻な影響がでます。
 また、「関税ゼロ」で大企業の利益が増えても、国民生活はうるおいません。企業の内部留保は、この12年間で102兆円も増えたのに、賃金は28兆円も減っています。
 農水省の資料でも、TPPへ参加すると、国内総生産(GDP)が8.4兆円減少、雇用が350万人減少するとなっています。

●「参加」推進派が言っている、「農業は保護されすぎ」、「アジアとの連携」、「交渉だけなら  」、などについては日本の市場はすでに十分開かれています

 「農業は保護されすぎている」というのはとんでもないデタラメです。下の表を見てください。日本の輸入農産物の関税率はすでに世界最低レベルで、もう十分開かれています。

           主要国の農産物の平均関税率

インド

韓国

メキシコ

EU

日本

アメリカ

124.3%

62.2%

42.9%

19.5%

11.7%

.5%

  アジアでTPP交渉に参加するのは少数派です

 野田首相は「アジア太平洋地域と連携するため」と言いますが、アジアでTPP交渉に参加するのはたった4カ国、主要な国(中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピンなど)は参加していません。 「関税ゼロ」の打撃は、国の経済にとってあまりにも大きいからです。

「関税ゼロ」が交渉の入口で要求されます

 「交渉してみて、加盟か脱退かはあとで決める」というのもゴマカシです。“関税をゼロにします“とあらかじめ決めていないと、TPP交渉に参加すらできません。
 しかも、“日本としてこれはゆずれない”という「例外」や「再協議」は、原則として拒否される可能性が高いと政府も認めています。
 カナダは「チーズと家禽(かきん)類の肉を、関税撤廃する」と表明しなかったため、それだけで交渉への参加を拒否されました。

日本共産党の提案

 TPPのやり方は、世界でも日本でも破たんした“市場原理主義”そのものです。
 日本共産党は、アメリカ一辺倒からぬけだし、アジアの国ぐにと平等・互恵の経済関係を発展させることを提案します。

○ 食料主権を尊重した貿易ルールを

○ 野放しの「投機マネー」規制へ

○ 経済主権を尊重し、互恵・平等の経済関係へ

  いま、日本共産党は「TPP反対の一点での共同をひろげましょう」と、よびかけています。

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