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65歳までの雇用延長は「安心して働ける制度」にして欲しい

                                        山田 一

 ホームページ読者のみなさん、こんにちは。

 12月14日付けの朝日新聞・朝刊一面トップに載った「65歳まで再雇用義務化・・・厚労省が法改正目指す」という記事をご覧になった方もいらっしゃると思います。

 年金の支給開始年令の引き上げに合わせて、60歳以上の雇用を確保するため、厚労省が65歳まで、希望者全員を再雇用するよう企業に義務づける方針を固め、2013年度から実施するよう来年の通常国会で法改定を目指すという内容です。

 シオノギで働くみなさんの中にもこの問題については関心の高い方がおられると思います。
「しんぶん赤旗」には「雇用継続に背を向ける日本経団連」、「安心して働ける制度こそ」というタイトルで載っていましたので、まとめたかたちで紹介したいと思います。

1.そもそも高齢者の雇用に関する法律はどうなっているのか

 政府は1994年の社会保障制度改悪の一環で、年金制度も改悪し、会社員が入る厚生年金は比 例報酬部分の支給開始年令が段階的に引き上げられたため、男性の場合、2013年度から支給開始が61歳からということなります。(基礎年金部分は65歳から)これにともない、年金支給までの雇用を維持する「高年齢者雇用安定法」(2004年改正、2006年施行。以下「高年法」)が定められています。

「高年法」は、企業に対して、60歳未満の定年を禁止するとともに、65歳までの高年齢者の雇用確保の措置として、次のいずれかを義務づけています。

  @65歳までの定年年齢の引き上げ(厚労省調査による実施率=14.6%)
 A定年で退職したあと、新たに雇用契約を結ぶ再雇用制度など、希望者全員を対象にした継続雇
  用制度の導入(同82.6%)
 B定年制の廃止(同2.8%)

問題となっているのは多くの企業が導入している「継続雇用制度」

 「継続雇用制度」では、労使協定を締結すれば、継続雇用対象者を限定する選定基準が設定できます。現在、企業の56.8%が選定基準を設定しています(同前調査)。   
 選定基準は、「健康である者」、「労働意欲のある者」、あるいは「人事考課が一定水準以上の 者」など客観的に見えますが、企業の恣意(しい)的な運用を可能とし、企業の意に沿わない労働者を排除できるようになっています。実際に雇用を拒否され裁判になっている事例もあります。

2.今回の厚労省の方針は、国として当然のこと

  厚労省内に設けられた「今後の高年齢者雇用に関する研究会」は、今年6月、報告書をまとめ、その中で「65歳まで希望者全員の雇用を確保することになっていない」と指摘し、定年年齢が65歳に引き上げられるよう議論することとあわせて、「基準制度は廃止すべきである」としました。「希望者全員」の雇用継続を図るという「高年法」の本来の趣旨に反するということです。

 これを受けて厚労省は、上記朝日新聞の記事にあるように、「高年法」の選定基準を設定できる規定を撤廃し、希望者全員の雇用を確保するよう、法律の改正を目指す方針です。このことは働く者にとって歓迎すべきことでしょう。

 「日本経団連」の姿勢は大問題

 一方、経営者の団体である「日本経団連」は、厚労省の報告書に反発して「(選定基準は)今後とも維持されるべきものである」との意見書を発表。人件費を低く抑えるために、「希望者全員」の雇用継続に背を向ける姿勢をとり続けています。

国には改善する責任がある

 労働者は、年金支給まで働いて賃金を得て生活を維持する必要があります。雇用継続がされなければ、無年金の生活を強いられることになります。
 国が年金支給開始年齢を引き上げた以上、年金支給までの生活を維持できる雇用制度を整備し、企業に対しても指導し、実態を改善する責任は、国にあります。

3.60歳以降の賃金水準なども問題

  人事院は9月、国家公務員の定年を段階的に65歳まで延長する「意見の申出」を行いましたが、一方で、同じ職務であっても60歳を超えれば、賃金を60歳前の7割に設定するよう提案しています。民間の賃金状況に準じたものだそうですが、公務員制度で、年齢を理由にした賃金差別が容認されれば、今度は逆に民間の方に影響し、互いに、低い方へ低い方へ向かうことになりかねません。

労働組合(日本国家公務員労働組合など)からは、批判の声が上がっています。

 世界の流れは

 いま、世界各国では、高齢者雇用の拡大とあわせて、年齢による雇用や賃金、労働条件の差別を禁止しています。
 EUは一般雇用機会均等指令で、年齢などによる雇用・職業についての一切の差別を原則禁止するよう加盟各国に要求しています。イギリス、ドイツ、フランスは年齢差別禁止法を制定しています。アメリカでも年齢による賃金、労働条件などでの差別を法律で禁止しています。また、ILO(国際労働機関)は「高齢労働者に関する勧告」(第162号、1980年採択)で、高齢労働者が年齢を理由とする差別待遇を受けないよう求めています。

 日本でも、年齢によって差別されることなく、安心して働き続けられる賃金、労働条件が確立
 されるよう、切に願いたいと思います。

シオノギでは必要最小限の人しか再雇用せず、募集職種や人数を制限しているため、「今の 職場では募集していないので、どうしても働きたいなら今までと違う職種でパートしかありません」と働く意欲を失くす冷たい仕打ちをしています。さらに職群によって月給が違っていたり、職群の見直しなどで25万円→20万円20万円→15万円、一時金なしなど労働条件を改悪しようとしています。

 本来は定年前の職場で再雇用され、給料も定年前の75%以上は保障されることを政府は念頭に置いていたと思うが、企業は法律に記載や罰則がないことをいい事に、賃金の切り下げをどんどんやっています。

 労働者に冷たい企業に明日はない

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