私たちの見解

世の中で起きていることについて日本共産党はこう考えます
                                          Part3

今回は、「日本共産党は大企業をどう考えているか」と、「景気をよくするために大事なことは」
についてです。

「大企業をどう考えているか」
 マスコミなどの大企業についての報道や統計などをみると、「資本金10億円以上、あるいは100億円以上の企業について」などとなっていることがよくあります。従って、シオノギ製薬()も資本金や年間売上高からいって充分大企業であるといえるでしょう。ただここでは、個々の企業ではなく、日本の大企業の全体的なことについてです。

 確かに日本共産党は、日本の大企業、特に「日本経済団体連合会」などの経済団体の考え方に「異」をとなえています。
 国会論戦でも、「しんぶん赤旗」でも、選挙政策でも問題視し、改めるべきだと主張しています。
 それはあまりにも「利潤第一主義」であり、労働者の権利や健康をおろそかにし、リストラで雇用を破壊し生活さえもなりたたなくしているからです。また、中小企業にたいしても単価切り下げなどで経営が成り立たなくなるなど、窮地に追い込んでいる現状もあります。
 企業が大小を問わず利潤を求めるのは当然ですが、大企業の利潤追求のしかたがあまりにもひどいのではないかと批判しているのです。

 つまり、日本共産党は大企業を敵視したり、衰退を願っているわけではありません。
  企業には人間社会に役立つ製品を作り出したり、サービスを提供したりして社会を豊かにしていくという役割があります。その上で、利益に見合った税金を負担し、働く場所を提供するなど、その存在にふさわしい社会的責任を果たして欲しいと考えているのです。そうしてこそ、人間社会が暮らしやすくなり、企業自身の健全な発展にもつながるのではないでしょうか。
 この点では、同じ資本主義であるヨーロッパの国々の大企業と比べてみればよくわかります(税負担や社会的責任の実情については今後紹介していきます)。

「景気をよくするために大事なことは」
 いま起きている深刻な不況について、日本共産党は、一時的な景気後退ではなく、日本経済全体の長期にわたる地盤沈下というかって経験したことのない危機的事態だと考えています。この事態から抜け出すためには、国民の生み出した富が一握りの大企業の手に集中するという異常なシステムを転換することが必要です。

□ 先進国で日本国民だけが貧しくなった
 2008年秋のリーマン・ショック以後の日本の景気悪化は、世界の中でも特に深刻ですが、その原因は、リーマン・ショックに先立つ10年間にあります。1997年から2007年までの10年、日本では、「強い企業を育てれば日本経済は強くなり、いずれは家計や中小企業にも及んでいく」という議論が幅をきかせていました。政治の役割は、一部の「強い企業」を応援することだとされ、大企業への税制優遇や雇用の規制緩和などが行われました。この「構造改革」路線の結果、大企業は史上最高益を更新し、この10年間で、内部留保は142兆円からに229兆円に積み上がりました。(その後、2009年度末では243.9兆円までに《財務省「法人企業統計」から計算》なっています。)
 ところがこの内部留保の中身をみると、機械・工場・土地などの実物資産は増えていません。買収した海外企業の株式や国債などの金融資産が急増しています。つまり、大企業は、手にした利益をまともな還元と再投資に回していないのです。

 この結果、何が起きたでしょうか。次の図を見て下さい。

 同じ10年間、G7といわれる主要先進7カ国で、他の6カ国がGDP(国民総生産)を3割から7割ほど増やしているのにたいして、日本の伸びはわずか0.4%にとどまっています。また、雇用報酬、すなわち働く人の所得の伸び率をみてみると、他の6カ国が2割から7割増やしているのにたいして、日本だけが5.2%減らしています。

 つまり、この10年間、先進国の中で日本だけが、「成長の止まった国」、「国民が貧しくなった国」になっているのです。






□ それではどうすればよいか・・・大企業のもうけを国民経済に還元する
 国民の生み出した「富」が、ごく一握りの大企業の手に集中し、企業数の99%を占める中小企業や、GDPの6割を支える家計に還元されず、日本経済全体の好循環が生み出されないという、この経済システムこそ、日本を「成長の止まった国」にしている原因です。このシステムを改革することなしに、本当の意味で景気がよくなることはないと日本共産党は考えています。

そして、この経済システムの転換についてもっとも確かな道筋を示す、「経済危機から国民の暮らしを守るために政治は何をすべきか―日本共産党の五つの提言」という日本共産党版の「成長戦略」を提言しています。同時に「大企業のもうけを国民経済に還元させる」という主張が、国内外の専門家の間でも広がっているのが、この間の特徴です。

 ・イギリスの新聞「フィナンシャル・タイムス」の提言(2010./13付)
  「内需主導の成長のために最も重要な要件は、企業貯蓄の大規模な削減であり、新政権は企業の
  行動を変化させる政策を実行すべきだ」
  ・民間シンクタンクのレポート=富士通総研「どうするべきか、過剰な企業貯蓄」(2010.3/19付)
  や第一生命経済研究所「200兆円の企業マネーを活かせ」などでも大企業の「過剰な貯蓄」の
  活用を提言しています。
 (この「景気をよくするために大事なことは」は、日本共産党発行の「月刊学習」6月号から引用
  しました。)

 また、10月12日の衆議院予算委員会の質疑で、民主党の城島政調会長代理から次のような意見が出されたことは注目されます。それにたいする菅首相の答弁も内部留保がふくらんでいることは認めました。

 ・城島氏:「基本的には『大企業とか高額所得者とかの所得が上がれば、中小企業の利益はおのず
      から増える。そうすればおのずから国民の所得も増えるだろう』という新自由主義の考
      え方がとられてきた。その結果はみるも無残な状況だ」と主張し、「この10年間をと
      らえても大企業はバブル期を上回る利益率をあげているのに、正社員が400万人減り
      、平均賃金も家計収入下がりっぱなし。こういう国は日本だけだ」と述べ、デフレ脱却
      のために「まっとうな再配分をして、家計を潤す」よう求めました。

・菅首相:「(大)企業は200兆円の内部留保を抱えている。しかし企業も個人もお金を使うよ
     り持ったままの方が安心だとしてお金が回らない」との認識は示したものの、労働者派
     遣法の抜本改正や最低賃金の大幅引き上げなど、実効性のある内部留保の還元策にはふ
     れませんでした。

 以上についてみなさんは、いかがお考えでしょうか





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