第1回のテーマ
概要「日本共産党の紹介」シリーズ(24)

日本共産党綱領 第5章 
社会主義・共産主義の社会をめざして(第5回)

党綱領未来社会論
(1)生産手段の社会化
「生産者」と「生産手段」との関係
 未来社会に道を開く社会主義的変革の中心問題は「生産手段の社会化」です。綱領では、次のように述べています。
 「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される」。
 生産手段とは、経済学の用語ですが、人間は自然に働きかけて、それを加工しさまざまな新しい財貨を生産し、その生産活動を「労働」(あるいは「生産的労働」)といい、働きかける対象を「労働対象」、労働の過程で使う諸用具を「労働手段」といい、「労働対象」と「労働手段」をまとめて、「生産手段」と呼びます。
 生産者と生産手段は、もともとは、不可分の関係にあります。資本主義の時代には、切り離され生産手段は資本家が所有し、労働者を雇い、労働者に労働させることで生産物は資本家の所有物となります。資本家はその生産物を売って自分のための利潤(剰余価値)を手に入れる仕組みで、そこから利潤第一主義も生まれれば、より大きな利潤を追求するために労働者への搾取を絶えず強化しようとする衝動も生まれるわけです。また、個々の資本家あるいは企業の利潤追求が、経済を動かす最大の推進力とも動力とも成り、経済活動の無政府性が、この経済体制の何よりの特徴となるのです。

「生産手段の社会化」とは
 「生産者」と「生産手段」を切り離したことで矛盾が生まれたのであり、活路は一体性を回復するところにある――生産手段を、生産者の集団、あるいは生産者の集団を代表する資格を持つ社会の手に返す以外に、生産者と生産手段の一体性を回復する道はありません。これが「生産手段の社会化」です。
 「生産手段の社会化」にあたって、一番本質的なことは、生産手段の所有・管理・運営の全てが、企業にせよ個人にせよバラバラな私的な所有者から、社会の手に移る、ということです。これらの点について綱領は次のように示しています。
 「生産手段の社会化は、その所有・管理・運営が、情勢と条件に応じて多様な形態をとりうるものであり、日本社会にふさわしい独自の形態の探求が重要である…。」とし、続いて「…重要であるが生産者が、生産者が主役という社会主義の原則を踏みはずしてはならない。『国有化』や『集団化』の看板で生産者を抑圧する官僚専制の体制をつくりあげた旧ソ連の誤りは、絶対に再現させてはならない」。
 どんな場合でもそこで生産手段を使って生産活動にあたっている生産者の集団(「結合した生産者たち」)が主役としての役割を果たしてこそ、社会主義なのです。

生産手段の分野では私有財産が保障される――文書通りなので説明は省略します。

次回は(2)人間社会はどう変わるか、について展開させてもらいます。

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